土橋式聖杯戦争―ラプンツェルの翼感想―

 紹介も兼ねてラプンツェルの翼の感想でも。
 ネタバレはできるだけ防ぎます。

ラプンツェルの翼 (電撃文庫)

ラプンツェルの翼 (電撃文庫)

 まずはあらすじ。


 それは天使の牙を天使へと育てるプログラム。
 プレイヤーに与えられるのは、7つの駒と地図とデッキ、そしてパートナー。
 7人プレイヤーは各々に割り当てられたパートナーを戦いの道具とし、プログラムの終了を目指す。
 非日常の風景の中トランクを託された遼一は、トランクの中で眠っていた天使の牙、奈々とともに東京を舞台に戦いを繰り広げる。


 と、何この聖杯戦争といった物語。
 しかし、この「聖杯戦争」は土橋式。
 親切にルールを説明してくれる神父もいなければ、「聖杯戦争」のゴールすらも明かされない。
 プレイヤーは託された情報のみを頼りにルールとゴールを見つけ出す。


 さらに……。
 土橋真二郎がプログラムを聖杯戦争に似せたのは計画のうちか、先入観を利用したどんでん返しが待っている。


 とここまで書いたが、感想としては微妙の一言。
 今までの土橋作品の作風を匂わせつつも、オブラートで二重、三重に包んである。
 支配や裏切り、反逆といった人の醜さの見えない物語だった。


 そういや、雪蟷螂もミミズクやMAMAに比べパワー不足だったなあ。ルイを主役にすればもっと面白そうだったのに。