返る場所 ―とある飛空士への追憶感想―

話題古すぎwwwww
今まで積んでいたとある飛空士への追憶をやっと読みました。

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫)

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫)

もう最後のシーンが圧巻。
シーン単体ではよくある描写なんだろうけど、涙が出ました。
それと同時に胸が締め付けられたんです。
他の作品でも同様。自分の最大の幸せを犠牲にして何か大きなものを成し遂げる奴を見ると、胸が苦しくなる。


理由は明確。
苦しみの正体は羨望、憧憬、嫉妬、後悔。
彼らは私にない大切なものを持っているんです。
それは「返る場所」
それが胸の奥にある限り、どんなに辛くても、挫けてしまいそうでも、生きることに疲れても、決して折れない意志を持つことができる。
そんな、羽を休め再び飛び立つ力を与えてくれる休息の地。
それを彼らは持っている。
だから、どんな苦難が待ち構えていようと、どれほど不幸だろうが、どんなものにも屈せず、意志を貫き生きていけるのだ。
焼け野原で見た満ち足りた笑顔、剣を抜くときに魔術師と交わした決意。
それがあったからこそ、士郎とセイバーはどんな辛い結果があろうとも胸を張ることができた。
守ると誓った雨降る夜、桜を一緒に見に行こうと約束したときの彼女の笑顔。
それがあったからこそ、士郎は桜のために全てをなげうつことができた。
この物語でも同じ。
幼い頃卑しい身分の自分に話しかけてきたお嬢様。
その笑顔が瞼の裏に張り付いているからこそ、シャルルは生きてこれたし、中央海翔破を成し遂げ、ファナを笑って送り出せた。
そして今度はファナが……。
彼女が見た黄金の空は、シャルルとの思い出は、ファナがどんな苦難にぶつかったとしても再び立ち上がる力を与えてくれたことだろう。


ほんと、いいなあと羨ましく思う。





と、綺麗に締めくくることができればいいのだが、まだ語らねばならないことが少しある。
この胸を締め付ける要因はそれだけでなく、やはり悲しみもあるだろう。
まず言っておくと、私はバッドエンド恐怖症だ。
この物語はハッピーエンドだった。だったんだけど、もっともっと良いエンドを望んでしまうのだ。
二人は心を通わせ、会えなくとも心の中には相手が常に居たはずだ。
二人は幸せだったろう。
でもやっぱり、そんな二人が結ばれないなんて嫌じゃないか。
だから、私は二人が再会できたことを願っているし、信じたいと思う。
どんなに現実離れしようが、せめて物語の中では努力した分だけの救いがあってほしいのだ。


違う作品の言葉だけど、
望むのは問答無用のハッピーエンド。
失い続けた日々を上回る愛と平和。
……そう。
例えば、昏く沈んだ瞳が。
差し伸べられた手に、輝かしい未来を見られるように。
この言葉*1すんごい好き。

Fate/hollow ataraxia 通常版(DVD-ROM)

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*1:もちろんFate/hollow ataraxiaでのアンリの名言