私の作品歴―本物と偽物の物語―
基本的に本記事はリアル友人に私の触れてきた作品と嗜好を紹介するために書いたものです。
本記事には以下の作品についてネタバレが含まれる可能性があります。
・Fate/stay night
・偽物語(下)
・文学少女シリーズ
・ソードアートオンラインシリーズ
・アバター
・Fate/hollow ataraxia
・サロゲート
・機工魔術士
では以下本編。
さて、私が最初に確とした認識を持って触れた「本物と偽物の物語」はFate/stay nightだ。(詳しいこと考えずに触れていた物語の中ではピノキオが最初だろうね、多分。)
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Fateでの結論は、「例え正義の味方の理想が偽物であっても、正義の味方を目指したいと憧れた思いだけは本物である。偽物であっても本物を超えることができるはずだ」だった。
このように、私が読んできた「本物と偽物の物語」では、偽物だけど『本物』を目指そうとする、または偽物だけど存在していることは『本物』であるという結論が多い。(というか全部?)自身が偽物であることを認めつつも、『本物』と自分で肯定するか、他人により肯定されるかによって救われるのだ。
Fateは自分で自分は『本物』だと肯定した。逆に、他人に『本物』と認められることで救われる物語の例を挙げましょう。
偽物語(下)では、妹の月火の正体が人間ではなく怪異だと知った暦が「人間であろうと怪異であろうと月火ちゃんは僕の妹だ!」と月火を『本物』と肯定する。また、詐欺師の泥舟は「本物であろうと努力する分だけ偽物は本物より価値がある」と言っている。
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さて、次は少し軸がずれて、ヴァーチャルな世界を肯定するかどうかについて触れましょう。しかし、基本は同じで、『本物』であるなら、例えヴァーチャル(偽物)であっても大切であるという結論で一貫しています。
例えば、ソードアートオンラインでは、数年の間、命のやりとりを実際に行ってきたヴァーチャル世界のアインクラッドが現実よりももっと本物に思えると、主人公のキリトが考えるシーンがあります。また、実際、彼にとって命のやりとりをしないMMORPGとアインクラッドは一線を画すものです。
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しかし、所詮はまやかしの世界だとして、主人公は最終的に全世界のサロゲートを永久に停止させる。
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さて、今まで触れてきた偽物を『本物』と肯定する作品は、ある『枠』を設けている。それは本物と偽物を比較しないことだ。上記の作品では、本物に関係なく、偽物であっても『本物』であるなら正しいとしている。
Fateでは士郎の偽物の正義と、切嗣の正義を比べたりはしない。偽物であっても『本物』であろうとすることを肯定しているだけだ。
同じく偽物語では、本物の妹である火憐と、偽物の妹である月火のどちらが尊いかを比べない。単に、月火が大切だと結論づけている。
ソードアートオンラインにしても同じだ。アインクラッドが本物としつつも、キリトが現実を捨てることはない。(キリトにとってヴァーチャルなMMOは、キリトにとって『本物』ではない)
では、主人公にとって、本物と、『本物』である偽物が存在し、その2つが共存できないとき、物語はどのような結論を与えるのだろうか。
私が触れてきた作品の中でこのことに触れていたのは、思いつく限り1作品だけである。
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このような、本物と、『本物』である偽物の存在が両立できない状態で、晴彦は両方を生かす道を探すため、取りあえず現状維持(つまり本物が偽物に体を乗っ取られている状態)を目指す。そして、機工魔術士でこの問題に結論は出なかった。晴彦に人殺しをさせないために、偽物のメルクーリオは本物に体を返し、自殺することになるからだ。
後に機工魔術士では、フェイクを作る天才であるカリオストロが登場する。カリオストロは「本物と区別が付かない偽物があったら、どっちでもいいだろ」と言う。そして、このときにヒロインの偽物を作って、主人公が何かしらの結論を出すのかなと思いきや、何もなかったw 仕事しろよカリオストロ。
本物と、『本物』である偽物が両立できないとき、1つを選ばなければならないならどうするか、は難しい命題だろう。
このテーマに関する最近の作品としてウワガキに出会った。
いずれは1つに融合することになる本物とコピーがそれぞれ異なる恋愛をしていく。2人がそのまま別々に生きていくことができないこのマンガではどのような結論を下すのか楽しみでならない。
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